クリスマスツリーの思い出
シスター 岩田信子

十八歳人口減少期にさしかかっていた当時は、「小さくてもキラリと光る短大でありたい」という願いが学内には強く、アイディアを出し合って、全力投球をした。中には、奇抜な計画もあった。たとえば、玄関前にあるもみの木にクリスマスのあかりをつけたことである。学校案内のパンフレットの一ページを飾ったので、その写真を眺めるたびに、あの時の感動がよみがえる。
 小高く繁ったもみの木の枝にイルミネーションをとりつけ、いよいよ点灯式の夕べを迎えた。驚いたのはもみの木自身であったかもしれない。あたりが暗くなり始めた時、一斉にもみの木が光に包まれ、二年生を中心に皆で歌ったクリスマスソングが己斐の丘に響いた。
 今では、季節を問わず街は灯りであふれ、十二月になると豪華なライトアップに眼を見張る。しかし、私には、短大の玄関前に今もしっかりと立っているもみの木があの時与えてくれた、すがすがしい夢と希望の想いがいとおしく、想い出の宝として、いつまでも心に残ることだろう。

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