平和大通りの遠方からも「あれが清心」とわかる赤い屋根は、2021年の清心中高同窓会報で「ナミュー ル・ノートルダム修道女会が1955年建設、戦後すぐの建築物で、教会らしい伝統的なスタイルと、モダニズムを併せ持つ外観」と紹介された旧聖堂です。北側からの眺めはヨーロッパ的な縦長の窓が並び縦のラインが美しく、南側からは横のラインが強調されたモダニズムで、ディテールにもこだわって暖かみを感じさせる魅力的な建物です。
2023年2月19日、ノートルダム清心中・高等学校敷地内で、「旧聖堂及びクビリーホール見学会」が実施されました。この見学会は2018年にシスター方が
引っ越しされたあとのこれらの建物の保存を考える活動の一環として、まずは多くの関係者に建物の魅力を知ってもらいたいという主旨で、なでしこ建築会(清心中・高OG有志)の主催で開かれたものです。奈良女子大学工学部教授藤田盟児氏による「日欧文化の結晶―ノートルダム清心のお御堂」と題する講演も同時開催されました。
今回はお聖堂と修道院の内部も公開されました。ステンドグラスが可愛らしいお聖堂内部。オリジナルの 鉄製サッシ、一部のステンドグラス窓は観音開き、跳ね上げ式の窓も・・・。ふと庭園を見渡すと奥にはひっそりとルルドのマリア像。修道院内部にはシスター方が生活されていた食堂、居間、洗濯室、応接室、屋根裏部屋。そこにはシスター方がアメリカから持ち込まれたと思われる大きな年代物のトランクも数個そのまま置かれていました。戦後間もない時期、海外から女子教育のために来日されたシスター方や恩師達は、この被爆の地にどんな思いで来られたことか・・・。トランクを眺めながら、シスター達の勇気と信念に感謝の気持ちで一杯になりました。
昨年の同窓会総会は旧短大の思い出の講堂で開催されました。暖かさを醸し出す音響と美しい天井、 縦長の大きな窓などに入学式、大学祭等の日々を思い起こしました。このたびの見学会を通じて、今更ながら美的で建築的、精神的にも考え尽くされたすばらしい環境であったという事を再確認し、益々の感謝と幸せを感じました。
今は見えないシスター方の笑顔と朗らかなお声、厳しいお言葉、カトリックのご奉仕の精神と大きな愛は、これらの建物と共に私達の心の奥底に記憶されてい
ます。今後は建物の保存活動と合わせてこの歴史も未来に語り継がれるべきではないでしょうか。
追記:なでしこ建築会によると、今後これら清心のお聖堂と修道院をどのように活用していくかについて、 ナミュール・ノートルダム修道女会様へ提案していく、また皆様からの寄付も活動資金として歓迎するとの事です。
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