「清心でつながろう」
シスター 雜賀 美枝

 卒業生の皆様、いかがお暮らしでしょうか。今年も「ニューズレター」を通してご挨拶する時になりました。

 今年のテーマは、「『絆』−清心でつながろう!」とのこと、よいテーマを選んでくださったと思っております。
  同窓会の一番の目的は、相互の親睦、母校への貢献ですが、閉学した今は、単に親睦の場というだけでなく、同窓会こそ卒業生の心の拠り所であり、帰ってくる場―物理的のみならず精神的に―であると思います。
 短期大学は、在学時代は自分の学年と前後の学年としか交流はありませんが、卒業しますとむしろ年代を超えた方々との交流が出来てきます。初めてお会いしたにも関わらず、同窓のよしみで旧知の如く話が弾み、お互い信頼関係もできてきます。これこそ同窓という「絆」で結ばれているからです。この「絆」という言葉の意味に、「@動物をつなぎとめる綱、A断ちがたい恩愛」とありますが、束縛するように綱でつなぎとめるより、愛情によって結ばれていることを指しております。自分の学んだ学校に対する愛情と、世代を異にしても、ともに学んだ人々への恩愛が断ち切りがたいものとして私たちが一人ひとりの心を結び合わせているのです。
 先ほど、卒業生の心の拠り所と記しましたが、それは、何かあったとき、ふと思い出されるのが、母校なのではないでしょうか。ある卒業生は次のように言われました。「非常に思い悩む事があり、どうしてよいか判らなくなった時、ふと気付いたら自分は清心の坂を登っていました。シスター達に会って話を聴いてもらうことでもなく、ただ清心の校舎を見、山から市内を見渡し、昔そうであったように、静かに聖堂で祈って帰りました。それですべてが吹っ切れたように気持ちが軽やかになり、平常心に返えることが出来ました。」と。
 私は、このようなことこそ、「清心で繋がっている」ことだと思いますし、初めて会った人の中に「清心」の香りを嗅ぎ取り、親しくなれるのかと思います。今しております「日本文学を読む会」も世代を超えた卒業生や、他の人々にも輪が広がっていっており、「清心」を共有しながら、楽しく語り合っております。
 自分から、この「絆」を断つことなく、より強く結ばれていくよう努力し合おうではありませんか。

 皆様のご活躍を祈りながら。

 同窓会でお目にかかりましょう。

トップページへニュースレター10号目次へ次ページへ