私は、広島大学を定年退官後、設立準備の時から関わっていた広島市立大学に11年間在職し、この3月、学長としての任期を満了しました。現在はすべての公職から解放されて自由を満喫する生活です。
7年前、学長に就任したとき、広島大学在職中に顧問をしていた広島大学グリークラブ(男声合唱団)のOBたちが全国から集まってお祝いの会を開いてくれました。久しぶりに再会したOBたちは懐かしさ一入で、グリー愛唱歌を合唱しているうちに合唱コンクールに挑戦しようということになりました。毎月2回、県民文化センターでの合唱練習が一段落すると、近くのビア・ホールへ繰り出し、喉を潤しながら合唱練習の二次会をしました。そのときアイルランドでは、乾杯の音頭は「スローンチェ」(、アイルランド語で「健康」を意味する語)と唱えると教えたところ、皆ジョッキを持ち上げて「スローンチェ」と言い始めました。そこで私はOB合唱団を「コール・スローンチェ」と命名しました。
わが「コール・スローンチェ」は、課題曲と自由曲にグノーのミサ曲を選び、厚かましくも5回練習しただけで廿日市文化ホールさくらぴあの県大会に出場して金賞をとったのです。もし中国地区大会で優勝するような事になれば、日航に勤めているOBの手配で日航機をチャーターして北海道の全国大会に出陣しようと意気込んでいたのですが、アステールプラザでの中国地区大会では残念ながら銅賞(3位)となり、北海道行きは実現しませんでした。
合唱コンクールの中国地区大会が広島市で開催されるのは5年ごとですので、2年前にも清水脩作曲の男声合唱組曲「アイヌのウポポ」を歌って再度挑戦しましたが、県大会で銅賞に終わり、どうしようもありませんでした。「コール・スローンチェ」は今も健在で、国際アイルランド文学研究学会を広島市立大学で開催したときも、懇親会に特別出演してアイルランド民謡を歌い、来賓のアイルランド大使に敬意を表しました。
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