「信・望・愛」を心の絆に
シスター 雜賀 美枝

 同窓生の皆様、いかがお過ごしでしょうか。一年経つと皆一つ年を加えます。新しい卒業生が加わらなくなった今、会員の平均年齢は毎年確実に上がっていきます。皆「去年よりは・・・」と感じることでしょう。
 今年の会報のテーマは「未来に紡ぐ清心の絆」とのことで、これに関する想いを紡いでみたいと思います。
 同じ精神のもとで、教育を受けた方々が、どのように未来に向けて絆を紡いでいったらよいのでしょうかと考えたとき、私は次の言葉がひらめきました。それは「信・望・愛」です。すなわち、「信じること、希望をもつこと、愛すること」です。聖パウロは、コリントの信徒に宛てた第一の手紙第十三章―これは、有名な「愛の賛歌」といわれる個所ですーで「愛」の大切さを説き、最後に「信仰と、希望と、愛、この三つは、何時までも残る。その中で最も大いなるものは、愛である。」と結んでいます。
 人と人との絆も同じではないでしょうか。現代は不信の時代ともいわれます。また、信じるということなど考えたこともない、必要とも感じない人も多いかと思います。なぜなら、自分の欲しいもの、したい事など、だれかれを煩わすことなく自分の思うようにできる世の中ですから。しかし、浅はかなそのような考えでよいのでしょうか。
 また、人など信用できないと思っている人も多い時代です。確かに子供たちが誘拐されたり、殺されたりする事件が絶えません。誰も信用できない世の中になりつつあります。
 私たちは、この様な時代だからこそ、他者を信頼し、人々に希望を与える「世の光、地に塩」となる必要があるのではないでしょうか。
 戦後六十二年、日本は、戦争を放棄していますが、世界に目を向ければ、至る所で痛ましい争いが起きています。弱い人々が、生きられない世の中になっています。 信じることもできず、何の希望ももてず、愛されることもなく生きている人がこの日本でさえもどんなに多いことでしょうか。
 一滴の雫も集まれば大河になります。清心で学び、培われた心―「他者を自分のように愛しなさい」というキリストのみ教えーを未来に紡いで行くことは、単に同窓生間での絆を強めることだけにとどまらず、社会に、全世界に真の平和をもたらすことになることを忘れないようにしましょう。

トップページへニュースレター11号目次へ次ページへ