温故知新
顧問 シスター 荒谷 明恵

 人の一生には多くの出会いと別れがあります。素晴らしい人との出会いは、その人の生き様の残像が今も私の心の中に輝いています。
 Sr.キャサリン・ウィリアムをご存知の方も多いかと思いますが、彼女は短期大学の開学にあたって1967年に米国マサチューセッツ州セイラムから広島に派遣され、短大生の教育に専念し、授業、ESSクラブ、教育実習の指導、論文指導、その他の個人指導等を通して短期大学の発展に尽力されました。 Sr.キャサリンはいつも穏やかで教育者としても、シスターとしても立派な方でした。
 修道院では院長、日本管区の評議員などの重責も勤勉に果たしておられましたが、私たちは決して忙しそうな様子を見たことがありませんでした。用事で院長室に入ると優しい笑顔で迎えられ、仕事中の手を止めてこちらの話を聞き、引き続き雑談で長引いても忍耐深く話をゆっくりと聴いてよく理解をし、論しには優しさが溢れていました。彼女は深い祈りの人であり、真の愛の人でした。共同体のどんな作業も特に機械に関する仕事は得意でした。率先してミニオーケストラを結成され、ピアニカ、ウクレレ、笛の素朴な楽器による合奏ですが、楽器を奏でる人、音楽を聴く人、皆で和やかな夕食後のリクレーションを過ごしたりしました。また、料理、お菓子作り、編み物にも挑戦し、彼女はご自分の体型に合うゆったりしたベストを編んでご満足でした。国境、言葉、文化、習慣を越えて皆が一致協力し、多くを学びとても有意義な修道生活でした。院長として、教会の行事、外部での結婚式、お通夜、お葬式など、日本的行事にも積極的に参加し、日本の文化、風習を重んじる心の広い人でした。私たちは国際的修道会の会員として、お互いを受け入れ、理解し合い、霊的な姉妹として心から愛し合って共同生活を豊かなものに造り替えてゆく真の修道者のあり方を、Sr.キャサリンから学びました。

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