「なかなかやめられない」
遠藤周作を読む/樹の会 11期 佐伯
 皆さんは遠藤周作のことをご存知でしょうか。
 周作は大正12年東京で生まれ、父の転勤によって満州の大連で幼少時を過ごしましたが、両親が離婚したため昭和8年母とともに帰国しました。
 熱心なカトリック信者となった母の勧めるまま10歳の時受洗しますが、それは全く自覚の伴わないものでした。成長するにつれ、信仰上の危機にもみまわれ、母が与えてくれた宗教を捨てることもできず苦しみます。
 その「母から着せられた洋服(キリスト教)を、日本人の自分に合う和服に仕立て直したい」というのが氏の生涯をかけた小説のテーマになりました。
 『沈黙』『深い河』『わたしが・棄てた・女』『侍』『おバカさん』『スキャンダル』・・・。純文学からユーモア小説、フランス風心理小説から時代小説、エッセイにいたるまで、作中人物の姿が心に残り、その後どうなるのだろうと想像をかきたてられることがあります。 それは氏がすべてを書き尽くさないで、読者の心情や想像力を投影できる余白を残しておいてくれるからでしょうか。
 その味つけが絶妙なので私はいつも驚かされ、人間観察眼に優れた氏の作品をうまいうまいといっては、みんなで堪能しています。
 最後になりましたが、いつも温かく支えてくださっているシスター雜賀に感謝!!
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