時間に洗われて
11期 佐伯 緑
 短大卒業後の人生には実にさまざまな出来事がありましたが、還暦を迎えようとしている今、その時間の短さにあらためて驚かされるというのが実感です。
 振り返ってみますと、学生時代、あの学舎で、私は何らかの光を浴びたように思います。それは過去のことではありますが、自分自身現在もそのかすかな光を頼りにしているように思いますし、おそらくこれからの人生においてもそうでしょう。そして、このことは意外にも他の多くの出来事と比べても、とても大事なことだったのだといまさらながら思えてくるのです。
 「何教でもいいのよ」と。何教でもいいから信じること。海のような大らかさでそうおっしゃったシスター雜賀の声がこの文章を書くにあたって思い出されます。
 人生の慌しさや移り変わりをくぐり抜け、時間に洗われてなお滅びないもの…。すでにこれは学生時代に学んでいたのかもしれません。
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